注)2022はオンラインショップでの販売はしておりませんので、全国の取扱酒販店様でどうぞお求めください。
〇2022シーズン所感
2022は、遅めの雪融けと試験的な春剪定の取組み等が重なり、例年にない多忙な春のスタートとなりました。その後、雪融けが遅かったわりには開花がやや早め、また秋口に向けた糖度の上昇が緩やかだったことから、品種によるバラつきが大きかったものの、収穫時期はほぼ例年並み、ブドウの質量ともに良好なシーズンとして幕を閉じました。
今期も継続的に低温発酵仕込をテーマとして据えました。2021より3週間遅い12月8日に床暖房を微弱でスタート。空調における「投入エネルギー資源を最小限」にすることで、環境への負荷を低減すると同時に、地下蔵でのより自然な温度帯から生まれる、「この土地ならではのワイン造り」を目指します。
〇シリーズ共通
2022の3アイテムはアルコール分が13%前後と2021にやや近いイメージ。造りにおいては、2021に比べわずかに低温管理、穏やかな発酵を意識、ステンレスタンクのみでの熟成。気候変動等の影響あり、年々諸事難易度が高まる中、年毎の品種特徴等を踏まえた全体最適と調和を模索、主体品種の割合等に固執することなく柔軟に対応、苦味、複雑さ、バランスのとれた辛口白ワインに仕上がりました。可能な限りの亜硫酸添加量の低減に向けた自家取組を続けて参りましたが、2022は全アイテム無添加(サンスフル)、(参考:2018/40→2019/30→2020/20→2021/10→2022/0 ppm)。亜硫酸低減の効果か、以前に比べれば早めに開いてくる印象がある一方で、熟成潜在力が不明(5年程度か)、纏まりと深みを引き出すためにも、最低でも1年、出来れば2~3年ほど熟成させると大きく変化して来ると期待します。どのように熟成変化するのか今後見守って頂ければ幸いです。
〇モンガク谷2022栢 haku
フィールドブレンド・シリーズ「モンガク谷」のシャルドネ主体のアイテム、「栢(はく)」。「モンガク谷」シリーズの中で唯一の白ブドウ主体のアイテム。これまでの「モンガク谷」のスタイルが継承されつつも、辛口シャンパーニュのような、ブドウ本来の味わいを活かした繊細でシャープ、軽やかだが複雑な味わいは料理との相性が良好。皆様に親しんで頂けるワインになりますよう願いを込めて。
セパージュ:シャルドネ45%、ピノタージュ23%、ピノノワール14%、ピノグリ11%、ソーヴィニヨンブラン他5%
アルコール分12.5%、MLF有、内容量750㎖、生産本数4,077本(ロウ色:黄系)
小売希望価格:3,900円/本(税抜)
テイスティングコメント:色は透明感のあるやや濃いめのレモンイエロー。香りはグレープフルーツのようなシトラス、熟したリンゴ、ハーブ、バター、ヨード等、味わいは心地よい口当たりの中に、スパイシーさとシャープな酸、ほのかな苦み、ミネラル感が非常に良くバランス、複雑さを構成している。フレッシュでグラスに注ぐたびに表情が変わる。余韻は中程度、辛口、ミディアムボディー。亜硫酸添加量はゼロ。やや大きめのグラスで若干高めの温度帯、抜栓数時間後が好印象。少なくとも1年、出来たら3年以上の熟成を期待(1月試飲時点)。
< 栢(柏)について >
英名 :Daimyo Oak
分類 :ブナ科コナラ属
原産等:日本・東南アジア
誕生花:2/19、9/27
花言葉:勇敢 自由 愛想の良さ 独立 愛は永遠に 歓待
その他:・栢(はく)はどんぐりの木「柏(かしわ)」の異体字
・翌年新芽が出るまで落葉しない特性から代が途切れない「縁起物」とされる
・昔飲食物を盛るのに用いられた(葉を塩漬けにして柏餅を包む)等
〇ワイナリー紹介
モンガク谷ワイナリーは、2018年に始まった北海道余市町登地区にある「フィールドブレンド」に特化したワイナリーです。ワイナリー建屋は、札幌軟石の外壁で囲まれた「半地下の石蔵造り」。2018より順次アイテムを増やし、フィールドブレンド・シリーズ「モンガク谷」を展開しております。皆様に北海道・余市におけるフィールドブレンドの可能性と奥深さを感じて頂けたら幸いです
●フィールドブレンド・シリーズ「モンガク谷」
フィールドブレンド・シリーズ「モンガク谷」は、余市のテロワールが生み出す、綺麗で広がりのある酸を基調としつつ、繊細ながらも、黒ブドウによってもたらされる軽妙なタンニンが程よい骨格と立体感を演出する特有の辛口・混醸ワイン。フードフレンドリーであることが最大の特徴のひとつ。フィールドブレンドならではの複雑かつ一体感のあるアロマは、多様な食材や、出汁、ハーブ、スパイス等を巧みに使い、繊細ながらも、複雑で、重層的な風味を生み出す料理と好相性。やや大きめのグラスでゆっくり温度を上げながら、その変化を楽しみ、繊細な香りと味わいを存分に引き出して頂けたら幸いです。
●フードフレンドリーなペアリング
ぺアリングは面白い、例えば「酸」でいえば、食材かソースつまり料理自体に酸がある「調和型ペアリング」あるいは(酸のある)ワインと(酸のない)料理が口中で結び付くことで完成する「補完型ペアリング」など、料理とワインのペアリングにおいて、個々人の好みのペアリングは実に様々。これまでの少ない経験から言えば、食材やソース(味付け)に一定以上の「旨味」と「酸」、そして「複雑さ」を少しだけ持たせると、モンガク谷ワインとの相性が一層向上する印象があります。フードフレンドリーで守備範囲が広く、日本料理の「八寸」のような、季節や地域性の光る趣向が凝らされた、逸品の数々にもそっと寄り添ってくれると期待されます。
帆立貝、海老、牡蠣などの海鮮をはじめ、魅力ある多様な旬の食材と「ソース」「出汁」の優しい味わいが、複雑かつ重層的に広がる料理、山菜や野菜・魚や豚等の内臓類のような「苦み」のある食材、ニンニクなど具材の持ち味を最大限に引き立ててくれる「ハーブ類」、トマト(野菜)やキノコなど旨味のポテンシャルがある植物性食材、調味料関係では、スパイシーなオリーブオイル、ミネラル豊富な岩塩、旨みが引き立つ醤油などの発酵性調味料等がお薦め。旨味の増強は、食材自体あるいは食材の組合せ等による相乗効果や前調理(乾燥・塩漬け・発酵・酵素利用等)、タンパク質の変性利用、すなわち加熱(速度・度合・表面・低温調理等)or酸を利用した非加熱調理・酵素利用による旨味増強等々、料理の世界の広がりは無限大で魅力的です。
(参考):旨味成分は大きく3系統(アミノ酸系・核酸系・有機酸系)に分類。昆布・野菜
類、発酵食品に多く含まれるグルタミン酸(アミノ酸系)。核酸系はリン酸を含むグアニル酸(干したキノコ類等)とイノシン酸(煮干し、鰹節、魚、肉類等)。窒素を含まない有機酸系は貝類に代表されるコハク酸。
食材/ソース × 旨み × 酸 × 複雑さ(苦み・塩味・スパイス/ハーブ等々)
モンガク谷ワインとの素敵な組合せ(ペアリング)を見つけたら、是非共有頂けると嬉しいです。
●ワインの名称
2018から「ワインの名称」を私たちの大好きな「木」の名前とし、それをシリーズ化
数多あるワインにそれぞれ個性があるように、「木」にもそれぞれ個性があります。
木の個性に「ワイン」と「思い」を重ねて命名しました。全国津々浦々には、木をはじめとする「自然物」の名前にちなんだ、珍しい地名や人名も数多く存在、日本らしさが表現される一つの形だと捉えています。私たちのワインが少しでも多くの、各地の方々にお受け止め頂き、そして向かい合って頂けたら幸いです
●私たちのワイン造り
私たちは、標高の高い自社一枚畑に異なる品種を植え、7品種のブドウを「混醸(こんじょう)」、主に以下3点をイメージ、野生酵母による自然なワイン造りを目指しています
1.冷涼産地らしい酸味、2.適度な苦味、3.複雑な香味
※「混醸」・・・ 複数の原料品種を少なくとも発酵初期段階までに混ぜて醸造すること
※「7品種」・・・ピノノワール、シャルドネ、ピノタージュ、ピノグリ、ソーヴィニヨンブラン、ピノブラン、ゲヴェルツトラミナー
※当方ワインは、無濾過・無清澄のため、瓶内にオリや酒石、また若干の気泡が出やすくなっています。ややにごりを感じるかもしれませんが、品質には問題ございません。澱・酒石が気になる場合は、必要に応じてデキャンタージュをお願い致します。
※可能な限りの亜硫酸添加量の低減に向けた自家取組を継続中(2022は栢杤楢紅桧
全アイテム0ppm無添加)。
●ラベルのデザイン
ラベルとして選ばれた絵本の原画が山の神様の「夜祭り」を表現したシーンであることから、2018の自家醸造開始を機に、従来のラベルをシックなトーンに更新。色とりどりの丸玉は集った神様たち、お月様を背後に佇むシンボルツリーの杤(とち)の木と神様たちが表現された夜景が、まるでクリスマスツリーのよう。7つの品種から1本のワインとして生み出されるモンガク谷のフィールドブレンドのイメージがこの原画にシンクロすることからラベル原画として採用されました。また、臆病な幼子の勇気が描かれたこの絵本の英名は「The tree of courage」(勇気の木) 、次の世代のためにも、日常の中のほんの小さな、自分だけのチャレンジを慈しみ、そして明るく、焦らず、じっくりと歩んで行きたいものです
最後まで長文をお読み頂き、誠に有難うございました。引き続き宜敷くお願い致します。
※今後掲載情報を段階的に縮減することを予定しております。以上