2021.09.06
  • モンガク谷2019 楢 – Nara –
  • フィールドブレンド・シリーズ「モンガク谷」のピノタージュ主体の新しいアイテム、「楢(なら)」。日本においても、未だほとんど栽培されていない無名とも言える品種、「ピノタージュ」の、「モンガク谷」におけるその可能性をチャレンジングに探るシリーズとの位置付け。ヨーロッパにおける「オーク(楢)の存在」(※)のように、皆様に寄り添って頂けるような、驚きと感動を与えられる新しいワイン造りに挑戦します。

    試飲時点では、最も透明度が高く、これまでの「モンガク谷」ではあまり感じられなかった、フローラルな香りに包まれ、また蜜のような甘やかな印象。果皮に大きな特徴があるこの品種を今後どのように料理していくか、今後の仕込方法や向き合い方などに大いなる期待感を感じさせてくれた仕上がりです。抜栓のタイミングについては、楢のつくりである「酋」の字のように長く熟成させることで(※、2~4年)、熟成感と口当たりに変化が出てお楽しみ頂けると思います。世界でも稀にみるピノタージュ主体のブラン・ド・ノワール。今後にご期待ください。

    ※「オーク」:
    古来、ヨーロッパの人々はこの木の木陰を住みかとし、この木から滴らせる蜜をなめ、その果実であるどんぐりを挽いてパンを作り、養豚の飼料にはどんぐりを与え、その大きな枝で小屋をつくり、さらにはオーク材を用いて堅固な船をつくるなど、たくさんの恩恵をオークから受け取っていました。オークの豊かな森が、人類に食料を与えることで、人はそこを集落とし、定住した森で豚を飼い、材としてのオークを利用することで住居をつくり、やがて道路や船を作りました。人類の歴史はオークとともにあり、農業文明、産業文明はオークととも育ったと言えます(引用)。

    ※「ピノタージュ」:
    1925年南アフリカ・ステレンボッシュ大学で交配・開発された品種。フランス品種であるピノノワール及びサンソーを交配させたことから、当方ではフランス系品種と位置付けています。1960年代に入って初めての商品が上市された、市場でも評価の分かれる、歴史の浅いマイナー品種。

    ※「酋」:楢のつくり(旁)で、「長い間熟成させた酒」、の意味がある

     

    【 DATA 】

    ・Brix 22.4、pH 3.41
    ・セパージュ:ピノタージュ65%、ピノノワール23%、シャルドネ6%、ピノグリ他6%
    ・収穫日:2019月11月 1日
    ・澱引日:2020年 8月30日
    ・瓶詰日:2020年 9月15日
    ・アルコール分 13.0%
    ・MLF 有
    ・内容量 750㎖
    ・生産本数 1,108本(ロウ色:緑系)

     

    【 テイスティングコメント 】

    色は透明感のある淡い黄金色。香りは甘やかな南国のフローラルノート、パイン、パパイヤ、パッションフルーツのようなトロピカルフルーツ、バニラ、ハチミツ。味わいはグレープフルーツの皮のような苦味の中に、スパイシーさ、軽い渋みと酸、香りに対して比較的すっきりとした味わい。余韻は中程度。辛口、ミディアムボディー。提供温度は14~16℃程度、温度を高めにすると香りの立ちがいい。(2021年1月9時点)

    小売希望価格 3,200円/本(税抜)

    自園(北海道余市町登地区)で手摘み収穫した原料ブドウ(平均樹齢4年)を、除梗破砕せず全房のまま、密閉ルーン式プレス(Sraml社製、1100L)にて圧搾、開放型ステンレスタンクにて野生酵母による発酵、澱を例年より多めに残す。2019年12月13主発酵(アルコール発酵)終了を確認。翌夏MLF終了確認後、澱引き、瓶詰。メタカリ(亜硫酸塩)を果汁段階(10)、澱引段階(20)で添加(総添加量30ppm)。コルク打栓後、蝋封シール(コルク種:DIAM10、ロウ色:緑系)。

     

    【 楢について 】

    英名 :Japanese Oak
    分類 :ブナ科コナラ属
    原産等:北海道から九州に至る日本全国、アジア北東部に分布
    誕生花:2/19、9/5、9/27
    花言葉:歓待、愛国心、勇敢、自由
    その他:・壺から「酒の香気」があふれる象形から楢という字が成り立つ
    ・古都「奈良の都」の周囲にこの木の林が出来たのが由来とする説あり
    ・酒造りの長(おさ)や一族を束ねる長のこと
    ・ヨーロッパの木々の中でひと際大きく立派になるため「森の王」と呼
    ばれ、生命力や長寿の象徴として崇められてきた

     

    【 2019シーズン所感 】

    2019シーズンは、昨年とは打って変わって、初夏の開花期に良好な開花結実を迎えることが出来ました。その後の好天がブドウの熟度を例年以上に高めてくれたものの、収穫期までに急激に灰色カビ病が多発し、特にピノノワールに於いてこれまでに経験したことの無いほど広がり、多くの貴腐果が発生した事から、選果収穫にかつてない時間が費やされるシーズンとなりました。独立後2度目の仕込となる今期、収穫後の仕込自体は順調に進み、2018に課題となった「MLF」も全てのアイテムで従来通り問題無く完了。ただ、例年とは違い、収穫に時間を要したことから、かつてなくアルコール分が高く(13%平均)、酸がやや穏やかなものの、苦味、複雑さ、バランスのとれた辛口白ワインに仕上がりました。また、2019は亜硫酸を従来より低減している(40→30ppm)ことから、全体的に纏まりが出て飲みやすくなるタイミングが、例年より早くなるものと予想されます。アイテム数が増えた2019、この産地をより一層感じ、お楽しみ頂く一助になればと思います。

    ※2020は新樽の導入が叶ったこともあり、一部を木樽熟成中(白)。2021にはフィールドブレンドの赤ワイン(ピノノワール+ピノタージュ)を本格的に仕込む計画。その土台作りの為に2020極小ロットを「手除梗」&「全房」に分け、実験中、今後の仕込方法の確立に向けイメージを膨らませ準備予定。